最近の葬儀は葬儀社との打ち合わせに基づいて、そのほとんどの準備を葬儀社が行います。祭壇の準備から始まり、受付の設営、清めの料理の準備と、喪家としては何もすることがないくらいです。
ハードの部分では確かにそのとおりですが、葬儀社では判断ができないことも多くあります。その最たるものは、喪家と来客者との関係、といったソフトの部分です。
来客者に粗相がないように、という気遣いは喪家としては最も気にかかることです。故人の死を悼み、その成仏を祈りに来られる方には万全の態勢をくみ、準備を怠らないようにします。
隣家や町内会にも知らせずに葬儀を行うならともかく、近隣や町会の役員には死亡の報告を必ず行います。近隣とのお付き合いは、今後の日常生活を円滑に進めるうえからも大切なことです。隣家には最も早く連絡をするとともに、会社や町会には序列に従って連絡することが大切です。
親族や故人の友人などに通知漏れがないか、今一度確認います。たとえ犬猿の仲であっても、死亡の通知だけはしておきます。その方が参列するかしないかは、先方の判断に任せます。
学齢期の子供がいる場合は、学校の担任の先生や場合によってはPTAの会長にも連絡をします。
親族の参列について確認をします。特に遠方から参列する親族については、到着時間などを確認し、宿泊施設の手配をします。また、帰宅予定日時も伺い、精進落しの人数の参考とします。
喪服が用意できない時には、葬儀社に相談すれば、レンタルの喪服を手配してくれます。身長、体重、胸囲、腹囲がわかればよいでしょう。
バッグ・草履などの小物もワンセットとしてレンタルしてくれます。肌着と白足袋だけは自費で用意することになります。
和装の場合は、家紋についても確認が必要です。よくわからない時は、親族などに聞くことが大事です。
香典返し品や、粗供養品の選定、数の確認をします。仕出し料理店には、料理の種類と数の確認をします。この時、料理のほかに座卓や座布団、灰皿、小皿などについても注意が必要です。
当日の天候に対する配慮も必要となります。特に冬場においては、弔問・会葬者の待機場所について気を配っておきます。必要であれば、クロークの配置も考えなければなりません。
各種の挨拶も誰が何を話すかについて決めておかなければなりません。
特に弔辞の依頼については、なるべく早い時期に、先方の都合を聞きながら依頼します。
喪家が会場についてすぐに案内されるのは、祭壇が設営されている式場です。打ち合わせどおりの祭壇が設営されているかどうかをチェックします。
とはいえ打ち合わせ時の見本の写真が手元にあればともかく、祭壇上の飾り物のいちいちについてチェックするのは難しいことです。
それでも基本料金以外にかかったものについては、「あればどこに飾られていますか?」と、聞くことは大事なことです。
もし、思い描いていたイメージと極端に違っているような時には、率直に尋ねてみます。
全体に暗いイメージがあれば、照明などを使って明るくしてもらいます。ただし、祭壇全体を総取り替えすることは時間の都合上できませんので、イメージに合うように工夫を凝らしてもらいます。
式場内の配席や会葬者の動きについても説明をうけておきます。式次第についても打ち合わせをします。全体の流れをつかんでおくことが大切です。
祭壇の両脇に並べられている生花については充分な注意が必要です。
葬儀社や生花店からの伝票をよく見て、札の字に間違いがないことを確かめます。誤りを発見した時には、すぐに葬儀社に指摘をします。時間に余裕があれば、通夜開式前には正しい札に並べ替えることができます。
次に札の並べ方のチェックを行います。
通常は、祭壇の上部・中央に「喪主」の札を一対並べ、外側へ「子供一同」「兄弟一同」など血縁の深い順番に並べていきます。最上段に並べ終えたら、二段目の中央部から同じく外へ向かって並べます。ただし、故人や喪家との関係、仕事の取引先の関係については、喪家で判断をします。喪家にとって、一番大切な方の札を最重要視すると考えれば良いでしょう。
祭壇に向かって、最上段の右が優先順位一位、次に最上段の左が第二位、第三位は第一位のとなり、第四位は第二位の隣、というように並べていきます。
また、祭壇に向かって右側を喪家・親族、左側を会社や友人関係というように配列する方法もあります。
「取引先の順位などはつけられない」というような場合は、名前札を生花の本体から切り離して、「芳名板」を使って一括して掲示する方法もあります。この時も順位は問題となりますが、その場合は「順不同」という札を掲示します。
通夜開式の直前になって生花が届けれれることもあります。直接的には葬儀社が対応をしてくれますが、その生花を飾る場所については、式場内に飾れるよう検討をします。この場合も喪家にとって大切な方であれば、札を引き抜いて、他の札と差し替えることもできます。
位牌の表には戒名が書かれ、裏側には俗名が記載されます。念のため、俗名、死亡年月日、享年に間違いがないことを確認します。
弔問・会葬者の受付場所に不備がないことをチェックします。受付役員が気持ちよくその任務を遂行できるように心がけます。冬場であれば暖房の設備、夏場であれば冷房や蚊取り線香などの用意も考えます。
会葬者に記名をしていただく帳面、筆記具、香典を受ける黒盆などの有無と、予備品の確認をします。筆記具はサインペンと毛筆用ペン、ボールペンを用意しておきます。
また香典をとりおいておく、手提げ金庫も重要な備品です。鍵の所在とともに説明を受けます。
道案内や駐車場の整理役員には、誘導灯やプラカードの有無を確認します。また式場までの「指さし(ゆびさし)紙」と呼ばれる道案内紙の確認も役員に依頼します。
まずは清め所全体の清潔さと清掃状態を確認し、冷暖房状態に気を付けます。
清め所の使用方法も事前の計画どおりかどうかをよく見ておく必要があります。喪家にとってのVIPが来た時などに余分なスペースを確保しておく必要があるか?親族用のスペースは充分か?などです。
賄い方を担当して下さる責任者とは必ず打合せをしておきます。仕出し業者から派遣された人であっても、料理が不足した時の対応や、納められた料理と品数を確認しておきます。
通夜ぶるまいのための準備は、依頼を受けた仕出し業者が責任をもって行います。業者に依頼をしない場合には、飲食に必要な箸、コップ、小皿の確認と必要に応じてスリッパや座布団などの備品の確認が必要です。夏場であれば生ものの管理状態には念を入れて注意をします。
遠方からの親族があれば、宿泊施設についても手を打たなければなりません。葬儀専用施設や火葬場付帯の式場では何名かが宿泊することができるスペースがあります。同時にこの方々の寝具・朝食も考えておきます。
シティホテルやビジネスホテルを利用する際は、式場から移動時間の短いところを選びます。
告別式に向けての準備の第一は、弔電の整理となります。弔電の数が少なければ、全部を読み上げることも可能ですが、時間の制約もあり読み上げる弔電の選定をしておきます。多数の弔電が届いている時は、代表の数通を読み上げ、他は名前だけの紹介にとどめます。どの弔電を読み上げるか、またその順番については喪家の判断によります。弔電の送り主の部下が会葬者として参列することもあり、喪家でそれぞれの関係性を見極めておきます。
出棺式から精進落しの席まで、この日は喪主の挨拶が多くあります。出棺式では喪主の挨拶と親族代表の挨拶があります。どちらか片方でもかまいません。
また精進落しの席では、喪主の挨拶、献杯の挨拶、お開きの言葉があります。誰が、どのような挨拶をするのか前もって決めておき、通夜日には原稿を完成させておきたいものです。
弔辞を読まれる方がいる時には、進行役の葬儀社の担当者と弔辞読み上げ者とで、開式中に座る位置、読み上げのタイミング、読み終えた弔辞の扱いなどについて事前に打ち合わせをします。
出棺から遺骨が自宅に戻るまで、ハイヤーやマイクロバスに乗車して移動をすることになりますが、誰がどの車に乗るのかを決めておきます。
遠方から自家用車で式場に来られた親族は、なるべくバスに乗車してもらいます。不案内な地域での運転は迷子や事故の元になります。火葬の時刻に間に合わなければ悔いを残すことにもなります。
精進落しは一連の葬儀の中で最後の場となります。世話役やお手伝いをしていただいた方に対して、謝意を表する場所となります。
選定した料理の数に過不足が生じていないか、参列者の予定を予め尋ねながら数を決定していきます。火葬場へ同行した人数や留守宅の人数、精進落しの式場で待機している人数を勘案します。料理店には最終発注が何時まで可能なのかを確認しておきます。万が一、不足が生じた時は、遺族の中で調達します。
この席は葬儀の一切が終わった開放感から長居になりがちです。遠方からの親族は帰りの予定時間もあるので、世話役には終了予定時間を伝えておきます。